2024年10月6日(日)新城教会主任牧師 滝元順
伝道者の書 9章14~15節
“わずかの人々が住む小さな町があった。そこに大王が攻めて来て包囲し、それに対して大きな土塁を築いた。その町に、貧しい一人の知恵ある者がいて、自分の知恵を用いてその町を救った。しかし、だれもその貧しい人を記憶にとどめなかった。”
詩篇 48篇12~14節
“シオンを巡りその周りを歩け。その塔を数えよ。その城壁に心を留めよ。その宮殿を巡り歩け。後の時代に語り伝えるために。この方こそまさしく神。世々限りなくわれらの神。神は死を越えて私たちを導かれる。”
皆さんおはようございます。ハレルヤ!
早いもので、十月になり、秋になりました。秋は収穫の秋です。多くの収穫物がありますが、被造物全体に対する収穫の季節であるはずです。その中には、人類も含まれますから、多くの人が主を信じ、収穫の時となるように願っています。
世界を見ますと、問題が山積みです。これからどうなってしまうのか、本当に心配な今日この頃です。
今日読んでいただいた聖書箇所は、私が大好きな箇所です。
“わずかの人々が住む小さな町があった。そこに大王が攻めて来て包囲し、それに対して大きな土塁を築いた。その町に、貧しい一人の知恵ある者がいて、自分の知恵を用いてその町を救った。しかし、だれもその貧しい人を記憶にとどめなかった。”
人生には役割があります。私たちが住んでいる場所、仕事場、その他、それぞれの領域において、名のある者ではないとしても、重要な存在です。
歴史の背後に、神がおられます。神の歴史を実現するために、それぞれの地域・領域には主の伏兵が必要です。一人ひとりが歴史を作る者なのです。神の知恵を用いて、町を救うのです。しかし、誰もそのことに気づきません。
伝道者の書九章全体を読んでいただきたいと思います。そこには、どんな人にも同じように、様々なことが起きると記されています。正しい者でも、悪い者でも、汚れた者であろうと、同様に良いことも悪いことも訪れると伝道者は語っています。それは事実であると思います。
しかし九章の後半に読み進むと、一人の貧しい人の知恵によって町が救われたという記事があります。私たちはこの点に注目したいと思います。ここで言う「貧しい」とは、物質的な貧困というよりも、「心の貧しい人」という意味だと思うのですが、神に対して心が向いている人たちが町にいると、知らないうちにその町が解放され、守られるのです。けれども、自分を含めて誰もそのことには気づかないのかもしれません。しかしそれは素晴らしいと思います。
やがてイエスさまの前に立つときに「よくやった良い忠実な僕だ!」と、声をかけていただきたいです。「あなたがいたから、新城市は守られたのですよ!あなたがいたから、あなたの町が守られたのですよ!」と言われる者になりたいです。
この箇所の「知恵」とは、ヘブル語では「ホフマー」という言葉が使われています。それは「ものごとを確かめる」とか、「はっきりと握る」という意味だそうです。知恵とは、物事をいい加減に捉えるのではなく、真実を見極める能力です。
最近は、あまりにもいろいろなことが多く起こりすぎて、物事の原因がどこにあるのか確かめる間もなく、次の事が始まります。
しかしクリスチャンは、神の知恵をいただき、物事を確かめることが必要です。
世界に様々なことが起こる原因をしっかりと確かめ、それをつかむ作業が必要だということです。
能登では大きな地震と大雨による災害が続きたいへんです。また、ウクライナやガザでも戦争が継続し、拡大しています。
現在、中東情勢が非常に緊迫しています。先週、イランがイスラエルに超音速のミサイルを百八十発を打ち込みました。ガザから始まった戦争がレバノンやイランにも広がっており、第三次世界大戦になるのではないかと懸念されています。
イスラエルという国は、イエスさまが生まれた国であるのに、なぜ紛争の中心になるのか疑問を持つ人も多いでしょう。キリスト教会の中には、イスラエルは神が選んだ国だから、どんな行動を取ってもサポートすべきだという意見もあります。しかしキリスト教会の中でも反対意見があり、大きく分かれています。
先日、山崎ランサム先生が話していたように、聖書のイスラエルと、現在のイスラエルは違うという事です。私もその意見に完全に同意します。今のイスラエルは、神が選んだ民族とは別ものです。その辺を間違えないようにしなければなりません。
彼らがなぜ、強硬に出るのかと言うと、創世記十五章十八節に根拠があります。
“その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫に、わたしはこの地を与える。エジプトの川から、あの大河ユーフラテス川まで。”
イスラエルの国旗には、両サイドにラインが入っています。それはエジプトのナイル川とユーフラテス川を象徴しています。
つまり、「この間の領土は我々のもの」という主張です。ゆえに、その中にいるイスラム教徒やパレスチナ人たちは聖絶されなければならない!という、過激な考え方です。特に、ネタニヤフ政権は「極右政権」ですから、国際社会が何と言おうと耳を貸しません。
では聖書は何と言っているのでしょうか。正しく聖書を理解する必要があります。クリスチャンは、旧約聖書にも基礎を置いていますが、新約聖書において実現した神の計画を中心軸にしなければなりません。
ヘブル人への手紙は、旧約聖書を熟知した人物が記しました。パウロが書いたのか、他の者が書いたのか論議はありますが、こう記されています。
“もし彼らが思っていたのが、出て来た故郷だったなら、帰る機会はあったでしょう。しかし実際には、彼らが憧れていたのは、もっと良い故郷、すなわち天の故郷でした。ですから神は、彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。神が彼らのために都を用意されたのです。”(ヘブル人への手紙 十一章十五~十六節)
ヘブル人への手紙の記者は、旧約聖書の登場人物であるアブラハムにまで遡り、彼らが願っていたのはエジプトの川からユーフラテス川までの物理的な領土ではなく、彼らはあくまでも寄留者であり、憧れていたのは天の故郷だったと告げています。彼らは実際の領土を望んでいたのではなく、神の国を望んでいたのです。
あくまでもクリスチャンは、イエスさまを中心として、神の国の到来を願わなければならないのです。
以前にもお話ししましたが、アブラハムに対する約束の領土について、ある人が次のようにまとめていました。
『アブラハムは他国の人のように約束の領土/土地に住んだ」(ヘブル十一章九節)とある。その領土は「自分(アブラハム)が嗣業として受け継ぐ領土」だが、アブラハムだけでなく、彼の子孫たちさえ「約束されたもの(領土)を手に入れることができなかった」と言うのである。
これは、旧約聖書の「イスラエルの領土」観から見ると驚くべき発言である。アブラハムもその子孫たちも、自分の祖国/故郷を求めて」いて、この地上において「よそ者」であり、彼らは「天の故郷を熱望していた」からである。ここでは、新約時代の「領土」だけでなく、旧約のアブラハムとその子孫にさかのぼって、「イスラエルの領土/国土」が根本的に再解釈されている。
旧約聖書の「領土・国土」神学は完全に解消されて、新しい「領土」解釈が、旧約時代にさかのぼって適応されている。これらの例は、「約束とこれの成就」という視点で、旧新の領土観の間には、根本的に異なるところがあると言える。』
このような視点で、私たちはイスラエル問題を扱わないといけないですし、今起こっている戦争についても、とりなして祈る必要があります。
人類はなぜお互いを殺し合うのでしょうか。何の得にもならないのに、こうしたことが歴史上、頻繁に起こっています。これからも続くと思われます。どうして馬鹿げた戦争が行われるのかというと、やはり理由があるのです。先日「争いの陰に武器ビジネスあり」と報道されていました。武器を売って儲けている連中がいるわけです。武器を最も多く世界に輸出している国は、やはりアメリカです。ゆえに世界の戦争には必ず、アメリカが絡んでいます。アメリカ社会は軍産一体型と呼ばれる構造で、軍需産業と民間が強く結びつき出来上がっています。ですから、どこかで戦争をしないと、国が動かない現実があるのです。
こうした構造の国がある以上、戦争は必ず勃発します。最近では中国も武器を多く世界に売りつけています。
昔は世界で起こる様々な事件の裏がよく分かりませんでした。しかし、ひとりの人物が四十年間、この世界で起こる様々な出来事の原因を確かめようと調査しました。その人は二〇一〇年に亡くなったのですが、ユースタス・マリンズという人物です。
彼はアメリカ人で、調査専門職員としてアメリカの図書館に勤務している中、世界には何か裏があるのではないかと疑い始めました。それで彼は様々な本を出版しました。しかし、彼の書物があまりにも的をついていたため、ドイツにおいては焚書(ふんしょ)として扱われました。
彼は「カナンの呪い」という著作の中でこう述べています。
『人類が直面している危機に関して、この四十年の間、根気よく調査研究を続けた結果、私は「すべての陰謀はサタンの仕業である」という極めて単純な結論に達した。
考えてみれば、この結論に驚く人はいないはずだが、実のところ、私にとっては少々驚きだった。研究に費やした何十年もの歳月がこれほど反論の余地のない包括的結論を導き出すとは全く予想していなかったからだ。何年もの間、この回答を引き出せなかったのは、私が道筋を誤っていたからではなく、究極の知識源、聖書を参考にしていなかったからだった。』
彼は「陰謀論」という言葉ができる前に、四十年間、世界の背後に邪悪な存在がいるに違いないと真剣に調査し続けたのです。
そして、最終的結論は「すべての陰謀はサタンの仕業である」というものでした。そして、彼はなぜその単純な結論に至るのが難しかったのかというと、「究極の知識源、聖書を参考にしていなかったからだ」と告白しています。
私たちクリスチャンは、常に聖書を参考にして生きています。これは本当に重要なことです。
そして、人類にとって不幸なことは、
『・・・サタンによって、つまりその子ネフィリム、さらにはカインを通じて、地上には悪魔的存在が確立されてしまい、神に対するサタンの反逆は以後、何千年ものあいだ、この世を苦しめることになった。以後の人類の歴史は神の民とサタンの礼讃者との戦いの歴史でもあるということだ。歴史的出来事はこの二つの対立勢力の実際の記録を明かすものだからーーーこのことが理解されないかぎり、明らかにされ得ない。』
この現実に気づくか否かで、人類の明日は変わるのです。そして、その知識を提供している最高の書物が聖書なのです。彼が四十年間、聖書を参考にしなかったゆえに、その結論に至らなかったと言っています。
ますます聖書の重要性が高まっている今日この頃です。クリスチャンはこの究極的原因について、理解すべきです。それが世界の明日を決めるからです。
最も悪魔が力を入れて働いている領域が、経済の世界です。戦争が終わらないのも、経済的理由です。
新紙幣、一枚二十.四円で作れるそうです。どこが発行しているのかと言うと「日本銀行」です。
しかし一円玉は一枚作るのに三円かかるそうです。作れば作るほど赤字になります。それを日本国が作成しています。金がどのようにして流通しているのかを理解することは、敵の策略を見抜くための基本です。
ユースタス・マリンズは、「民間が所有する中央銀行」という本を出版しています。ドル札を発行しているのはアメリカ政府ではなく「民間人」なのです。日本銀行も同じく民間です。
日本銀行は一万円札を二十.四円で仕入れ、一万円で販売していることになります。しかもそれに利息をつけて、政府に、市中銀行に卸すわけです。それが市中銀行を通して、一般庶民に届くのです。
ということは、中央銀行は何もせずに、どんどん儲かる仕組みです。こんなシステム、誰が知恵を与えたのでしょうか。その背後に強力な暗闇の力が潜んでいるのです。